日光修験時報「山王」

平成21年春号 より

行の食卓

行の食卓

行と食卓とでは、ちょっと違和感を持たれるかもしれません。つまるところ、修行中の食べ物は、ネギ・ニラ・ニンニク・ラッキョウ等の臭いがある野菜や、肉・魚・卵や魚肉のだし汁を用いない精進料理ということです。
精進料理は古くから各寺院に伝わり、現在に至りますが、この稿では古来より伝わるものや、現代風なものを取り上げて紹介いたします。

◆筍腐汁◆

修験関係の古文書に、「汁ジュンプ」と書かれているものがあります。このままでは意味不明ですが、これを漢字で書くとその謎が解けます。ジュンは筍でタケノコのこと、プは腐で豆腐のこと。ですから「汁ジュンプ」とは、タケノコと豆腐の汁物ということになります。春の味覚のタケノコを生かしたこの汁物は、格別な一品です。
次に作り方を、順次説明いたします。
  • 1.タケノコの水煮を、食べやすい大きさに切る。
  • 2.独活(ウド)を薄い短冊状に切る。
  • 3.鍋に胡麻油を入れて熱し、1.2.を入れて炒める。
  • 4.次に水を入れて煮立て、アクを取る。そのあと豆腐を大きめに崩して入れ、沸騰させる。
  • 5.火を止め、昆布だしを少々入れ、白みそを溶き入れる。
  • 6.食べる前に、もう一度火を加えあたためる。みそを入れたあとは、沸騰させない。食べる前の再加熱であっても、みその汁は沸騰禁物です。

タケノコの歯ごたえ、豆腐の味の深み、そして独活の風味が白みそにとても合い、春の味を満喫することができます。

筍腐汁

レシピ:(五人分)

  • タケノコ水煮:市販の物の半分
  • 独活:一本の2/3
  • 豆腐:半丁
  • 白みそ:60g(みそは好みの濃さで)
  • 水:800ml(カップ4杯)
  • 昆布だし:顆粒少々
  • 胡麻油:大さじ3
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