令和4年度(第37回)秋峰修行 〜結願〜

 小雨のパラつく中、往古には将軍・日光例幣使と峰中修行の山伏だけが渡ることを許されていた神橋を渡って、行者一同は日光山内のお練り法楽に出発しました。

 「懺悔懺悔、六根清浄・・・」の掛け念仏と法螺吹奏をしながら、山王院所縁の安養院、常行堂、二荒山神社、東照宮、輪王寺三仏堂、護摩堂を回って法楽を捧げ、最後に輪王寺御本坊に秋峰成満の御報告と御札を納めご法楽をいたしました。

 山王院に戻った後、壇上採灯大護摩供を修し、ご本尊日光三所大権現、金剛童子、修験開祖役行者神変大菩薩、日光開山勝道上人、並びに満山三宝に秋峰が無魔成満できたことの感謝の祈りを捧げました。

 大宿で出成り法楽の後、行者一人一人に入峰証が手渡され、令和4年度の秋峰修行は結願したのでした。

令和4年度(第37回)秋峰修行 〜峰中〜

 小雨と霧の中、深山の宿から山の中へ入っていきます。台風十四号の影響が心配されましたが、峰中はいたって穏やかであり、肉体的なキツささえどうにかできれば、最後まで満行できそうと感じました。

 3年ぶりではあったものの、体は覚えているようで、拝所を何カ所が拝んでいるうちに、山の中での感覚が戻ってきました。

 行者岳あたりまでくると一体感もでてきて法楽していると、何か手応えのようなものを感じました。途中、地蔵岳で峰中先達より杖加持をいただき、更に進んでいきます。

 薬師岳の手前当たりまでくると、睡魔と幻覚が顕れて身体的な疲労もピークになりますが、神仏の加護を得ながらなんとか乗り越え、細尾峠まで下りてきました。

 しばしの休息ののち、茶の木平へ向かいます。ここからは急登になるので、山念仏「懺悔懺悔、六根清浄・・・」で乗り切ります。全員が交代で山念仏を行いました。声を張り上げながらの山念仏は自分自身と向き合い困難を乗り越える絶好の修行となったようです。

 茶の木平で法楽ののち、中宮祠に一人の脱落者やケガ人を出すことなく、全員で到着することができました。

 折しも台風十四号の影響による生憎の大雨のため、中禅寺での採灯大火生三昧(火渡り)は中止になりましたが、中宮祠二荒山神社と中禅寺大黒堂と立木観音御宝前で御法楽をお勤めし、日光山内に投宿しました。

令和4年度(第37回)秋峰修行 〜開白〜

 令和4年9月17日土曜日、3年ぶりに通常の形で挙行される秋の峰入り修行のために、一門の行者が続々と山王院に集まりました。

 全員、検温と医療用抗原検査キットで新型コロナウイルスのチェックを行った後、本堂で千巻経修行が始まります。行者全員で般若心経を繰り返し唱えること約1時間。秋峰修行の無魔成満の他、信徒さんの諸願成就を祈念しました。

 続くミーティングでは、「日光修験道宗意」とともに「入峰の掟」を唱和し、修行援助の所縁に感謝し、同行への和敬を心に刻みました。日も暮れて暗くなってきた頃、すべての電気が消されて行灯に火が入り、薄明かりの中、大宿での十界修行が始まります。

 十界修行の内容は詳らかには書けませんが、峰中での十界修行の前に大宿でその意義を行じるのです。

 十界修行ののち、行者一同は古峰ヶ原の深山の宿から峰入りの行に出立しました。